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zoom RSS 新たな構造計算偽装が横浜で

<<   作成日時 : 2007/10/16 23:04   >>

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皆さんもご承知のように、既に各新聞やTVニュース等で放映されていますが、新たな構造計算偽装が発覚しました。
以下に、各ニュースへのリンクを張っておきます。

asahi.com:建築士が構造計算偽装 「他にも数件」認める 埼玉

読売新聞:横浜のマンション構造計算書に改ざん、首都圏の調査を指示

時事通信:埼玉の建築士が構造計算書偽造=横浜のマンション−他の48件も調査・国交省

毎日.jp:耐震偽装:横浜で見つかる 1級建築士「他にも数件」 10都県46物件を調査へ

件の建築士が携わった物件の数に関する部分など、細かい点で若干のばらつきはあるものの、ニュースのあらましは、以下の通り。

  • 今回の問題が発覚したのは、横浜市西区で建築中だった9階建てRC造の分譲マンション。建築主は「積水ハウス」。ただし契約段階には入っていなかったため、入居予定者等は決まっていない。

  • 建築主である積水ハウスから設計を直接請け負ったのは「松田平田設計」だが、そこから外注として「構造計画研究所」に委託された。

  • ところが、外注先である構造計画研究所でも手が回らず、そこからさらに再委託された。その相手が、今回の偽装を行った「藤建事務所」の遠藤孝建築士。

  • 遠藤建築士は、以前構造計画研究所に在籍していたが、しばらく前に独立して事務所を設立した。ただし、構造計画研究所によれば、最近5年間は協力事務所としての取引がなかったということである。


今回の偽装の内容についても、各社色々な書き方をしていますが、私の目から見て一番的を射た書き方をしているなと思う毎日.jpの文章を抜粋してみます。

 判明した偽装は167カ所。うち161カ所は地震の際に破断する恐れのある耐力壁や柱を、破断しないものとして入力。6カ所は耐力壁の断面計算で「NG」(不可)となった部分に「OK」(可)の文字を切り張りしていた。


上記の記事に関して、少しだけ専門的に解説します。

まず、「161カ所は地震の際に破断する恐れのある耐力壁や柱を、破断しないものとして入力」の部分。
これは、以前にも説明したことのある「保有水平耐力計算」という、大地震時に建物が耐えられる力の限界を求める計算を行う際に、「せん断破壊」という脆い壊れ方をする可能性のある柱や壁を、「せん断破壊しないものとして入力した」ということだそうです。

一方、「6カ所は耐力壁の断面計算で『NG』(不可)となった部分に『OK』(可)の文字を切り張り」についてですが、これは「許容応力度計算」において、断面検定結果が「NG」となったものを「OK」に書き換えたという事です。

上記の参考記事:
http://radcliffe.at.webry.info/200702/article_22.html

ここで皆さんはひょっとすると、
「前者のような入力が、プログラム上なぜできるのか? それは違反じゃないのか?」
と思われると思います。
しかし、たびたび申し上げているようにプログラムは道具に過ぎませんから、プログラムの中ではそのような条件で一貫計算をしておき、プログラムの外で手計算を行って各部材が健全である事を示すことさえできれば、それは設計手法として何の問題もないわけです。

今回の事件において、精一杯好意的に解釈すれば、「プログラム上はそうしておいて、後で手計算をしようと思っていたが、時間がなくて間に合わなかったのかもしれない」と思う事はできます。

後者の「NGをOKに書き換えた」という場合も、以前に別の項で説明したことがありますが:

参考記事;
http://radcliffe.at.webry.info/200701/article_42.html

要するに、別途手計算を行って問題がないことを確認してあるのであれば、これまた何ら問題はないことになります。

ただ、それらが問題ないと判断できるのは、あくまで「手計算なり何なり、別の方法で安全性を確認してあり、その考え方が問題ない」場合にのみ言えるのであって、今回の場合は本人が「偽装です」と認めているのですから、最早何をか言わんやですが。

いずれにせよ、姉歯の事件を受けた厳格化の流れの中で、「それでもこういうことをやるヤツがいた」って事自体、私にとっては驚きですし、同じ構造設計者として情けなくも思います。
また、意図的に偽装を行ったという事は重大な犯罪であるとも思います。姉歯のときのように、発覚したのが建築の完成・住民の入居後でなくて、不幸中の幸いだったということも言えるかもしれません。

しかしながら一方で、以下の記事に書いてあるように:

毎日.jp:耐震偽装:受注、背景に需要増 改正法施行前で建築士、手いっぱい−−横浜
 同社(注:一次委託先の構造計画研究所)は「社内でさばききれず、通常の外注先も引き受けてくれなかった」と説明している。改正法施行前の「駆け込み需要」が、遠藤建築士による不正につながったとみられる。

(中略)

 再審査制度の導入などを盛り込んだ改正建築基準法の施行が迫り、構造計算の発注が増加。所属の建築士では対応しきれなくなり、外部の複数の建築士にも「手いっぱいだ」と断られたという。このため、記録が残る最近5年間は取引実績がなかった遠藤建築士に06年12月中旬、構造計算を引き受けてもらった。


某mixiでは多少愚痴(^_^;)を書いてますので友人の皆さんはある程度ご承知いただいてるかと思いますが、6月の改正法施行を挟んでの数ヶ月というのは、正直異常でした。
これまでに行ってきた通常の構造設計・構造計算に加え、新たに法律で追加された計算への対応(しかもそれが確定したのが改正法施行の前日!)、今まで以上に厳格化された図面の整合性に対する確認、そして法的に要求される手続き書類の準備と、暗中模索の状態がずっと続いており、構造設計者の忙しさは極まっていたと言えます。

ですから、委託先が再委託した事については無理もないと思いますし、遠藤建築士が「時間がなかった」というのも、その点についてだけは頷けます。
まして今回、遠藤建築士が設計を受けた物件というのが:

 国土交通省によると、問題となった分譲マンションは9階建ての5棟が地下部分で連結されるなど複雑な構造で、構造計算は難しかったとみられる。作成された構造計算書は計3800枚にも達し、「偽装を発見するのは非常に難しい物件」(同省幹部)だった。

これで偽装さえなければ「3800枚にも及ぶ計算書を、よくまあ短期間に一人で(おそらくは)作ったな」と、その点については尊敬に値するくらいです。

(だからといって、もちろん偽装して良いという理屈にはならないわけですが……「盗人にも三分の理」ということと、ご理解ください)



それはそれとして、以下は個人的な話ですが……

改正法が施行されて3ヶ月強が経過し、どうにか実質的に運用可能なレベルの方針が固まってきて、やっとのことで回り始めた矢先の、この事件。
今後、この事件を受けて、構造設計者や建築業界を取り巻く環境がどのように変わっていくのか……あるいは改正法が施行された事により問題は解決するはずだとして、大きくは動かないのか……ちょっと先が読めない状況です。

いずれにせよ、今後の情報に注目していきたいとは思っています。
ただ、本来の業務が忙しい状況に変わりはないので、姉歯の件のときほどこまめにこの話題の書き込みや質問に対するレスはできないと思われますので、その点はご了解ください。
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